sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

wilma◇2.拒絶(アル編)

「ねぇ、アルは好きな人いる?」
「いるけど、俺の想いは…どうにもならないんだ」
「??よくわかんない…。じゃぁ、私が大人になったら、アルのお嫁さんになってあげるね!」
「はは、そんなこと…出来ないよ」
私の知ってるアルは、カッコよくて、優しくて、大人で、人気者で…だから何で独身なのか謎だった。

アルが魔銃兵を辞めた。辞めた理由は…
「…教えない。君のママが本当の理由を知ってるから、それだけでいいんだ」
「ねぇ、前から思ってたんだけど、アルは私のママが好きなの?」
「えっ!?そ、それは…」
「やっぱりそうなんだ。じゃぁ、なんでママと結婚しなかったの?」
「君が大人になれば分かるよ」

アルが奏士になった。15才で奏士なんて…スゴいよ。カッコいいお顔が見えなくて残念なんだけど、それでもやっぱりカッコいい!

もしかして、魔銃兵を辞めた理由って…奏士になりたかったのかな?
「アル、神職服似合ってる。カッコいいよ!」
「ありがとう。この年で奏士ってのも…ちょっと気が引けたけど、そう言ってくれると嬉しいよ」
奏士になったアルは前にも増して女性に囲まれるようになった。私がアルと話してても、すぐ誰かがアルを連れていく。アルは…子供の私なんて眼中にないみたい。
そして、ずっとフリーだったアルにとうとう恋人が出来た…相手はアルよりずっと年下の奏女。
「アルはその人と結婚するの?」
「まだ分からないけど、結婚するのもいいかな…って思えるようになったんだ」
「……そう…なんだ…」

 

私は大人になった。そしてその日の夕刻、アルの恋人である奏女から役目を引き継いだ。3日前、アルも奏士を引き継いで国民に戻ってたから、ふたりが結婚を意識してる…そうとしか考えられなかった。

アルにやっと恋人が出来て、そして17歳でようやく結婚しようとしてる…。よかったね…アルが幸せになるんだもん…よかったんだよね?
私の目から涙がこぼれ落ちた。まるで尽きることなどないようにボタボタと落ち続ける…やっぱり私…アルが好きなんだ…
「アル…ふたりで出掛けない?」
「うん、いいよ」
「私…アルが好きなの!恋人がいるのは分かってる…でも…私、アルじゃなきゃダメなの!」
「ごめん…気持ちは嬉しいけど、君は俺にとって娘のような存在なんだ……ごめんな…」

 

アルは誕生日を迎え熟年になった。アル…もう一度だけ告白させて…これで最後にするから…
「アル…私のこと嫌い?」
「…君とは年が違いすぎる。俺は老い先短い…もし君とそうなったとしても、この先何年一緒に居れるか…。俺と居る時間より、そのあと君が独りで過ごす時間の方が長くなるんだよ。そんな淋しい思い…させたくないんだ」

「勝手に決めないでよ…私は今の方が淋しいよ!アルと一緒に過ごせない今の方がずっと淋しいの!」
「…俺の両親には11年の歳の差がある。親父は俺が成人した年に亡くなったんだ…それからずっとお袋は独りだ。俺がいるから淋しくないって言ってるけど、時々…親父の写真を見て泣いてるのを知ってる」
「そんなの…淋しくて泣いてるんじゃないかもしれないじゃない!私だったら…多分、楽しかった事を思い出して…懐かしくて涙が溢れる…」
「懐かしい?…そんな風に考えたこと無かったな…」

 

俺はあの娘の母親に会いに行った。かつて俺が大好きだったあの人に…
「俺がもし君の娘と結婚したいって言ったら…やっぱり反対するだろ?」
「反対はしない…だけど心配よ。アル君は娘を残して先に逝くことになる。その頃には私だって居ないかもしれない…そう思うと手放しで『おめでとう』とは言えないわ…」

「でも…反対はしないんだね?」
「あの娘がずっとアル君を追いかけてたこと…知ってるから。あの娘の気持ちは大事にしたいの…母親だからね。だから…反対はしない」