sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

wilma◇2.恋人(ジミー編)

ジミー君と恋人同士になった翌日…
「明日、時間ある?よかったらデートしない?」
「もちろん!じゃあ、お昼に街門広場で待ち合わせだよ」
ジミー君と別れ、私はその足で図書館に走った。やっと帰化する資金が貯まった。ジミー君からもらったあのグチャグチャの帰化申請書は大切に仕舞っておくんだ!大事な思い出だもん…使える訳ない!

 

翌朝。畑仕事をして、ウィアラさんの依頼をこなして…ってもうお昼過ぎてるじゃない!急がなきゃ!
「ジミー君お待たせ、デート行こう!……ねぇ、聞いてる?」
「あっ、うん。どこ行く?」
「水源の滝!まだ行ったことないから…連れてってくれる?」
「了解!」
滝までの長い道のり…ジミー君はひと言もしゃべらない…。さっきから何か様子がおかしい、もしかして…遅れたこと、怒ってる?

「ジミー君、ごめん!遅刻したこと…怒ってる?」
「違う…そうじゃない!」
いきなりガバッと抱き締められる…
「不安…だったんだ。突然いなくなるんじゃないかって…だから帰化してくれたことが嬉しくて…ずっとこの国にいてくれるんだね」
「うん。ジミー君の側にずっといるよ。不安にさせてたんだね、ごめんなさい」
「国民服…よく似合ってる。かわいいよ…」
「でもこの服、旅人の服と違ってなんか恥ずかしいんだよね……って、どこ見てるのっ!」
「い、いや、ごめん…そんなつもりじゃないんだ!」
「どうせ小さいですよ!がっかりさせてごめんね」
プイッと背中を向けた。
「そんなこと思ってない!だから、こっち見て!」
ジミー君と視線が絡み合う…私はそっと目を閉じた。ジミー君とのファーストキス…とっても優しいキス。伝わってくるジミー君の鼓動は私と同じくらい速い…
「えっと…そろそろ帰ろうか。送るよ」

 

「お兄ちゃん、恋人出来たんでしょ?紹介してよ。いずれお姉さんになるんだから、早く仲良くなりたい」
「はっ?な、何言ってる?まだそんなんじゃないから!」
「一度連れてきなさい。この前訪ねてきた旅人さんでしょ?母さんも少し話したいわ」
「だいたい何で知ってるの…。それにもう旅人じゃない、帰化してくれたんだ!」
「それなら尚更、近いうちに連れてきなさい。いいわね?」
何なんだうちの家族は…僕だってもう大人なんだから放って置いてよ。

「…ってことで、今度家に来ない?」
「うん、わかった…。なんか緊張するな…」
「ごめん、うちの家族強引で…。あ、でも全然気遣わなくていいからね!」
「早い方がいい?じゃぁ、明日?」
「いや…明日は…折角の星の日だし、デートしたいな」
「うん!じゃぁ、明日はデートしよ」

 

星の日、年に一度の幻想的な日だ。この前はジミー君を待たせちゃったから、今日は遅れないよう早めに街門広場へ。ベンチに腰を下ろし、どこに行くか考えてた。
「あの…ふたりで出掛けませんか?」
「えっ?ごめんなさい。今日は予定があって…」
答え終ると同時に王立闘技場に飛ばされた。

エナの子コンテスト?私が?訳が分からないまま挨拶をした。結果は…エナの子に選ばれた。
今何時?もうっ、また遅刻じゃない!急いで街門広場へ走る。
「ごめん、遅くなっちゃった」
「コンテストだったんでしょ?おめでとう!」
「見てたの?」
「ちゃんと一票入れたよ。だから僕も今来たところ。そんなに慌てて来なくても、ちゃんと待ってるから大丈夫だよ」
「だって…早く会いたかったの!折角早く来て待ってたのにコンテストに呼ばれて…」
「っ!!(か、かわいい…)」

「今日はどこに行く?星の日だし、景色のいい場所がいいよね?」
スッと手を繋がれ木造橋の方へ。
「やっぱりここかな?」
「うん!この前と表情が全然違う…まるで別の滝に来たみたい…」
「僕も星の日に来るのは初めてかな?なんだか吸い込まれそうだ…向こう側に渡って座らない?」
ジミー君の隣に腰を下ろし、また手を繋ぐ。
「僕と出会った日のこと覚えてる?」
「もちろん覚えてるよ」
「ヤーノ市場に朝一で行ったのは、あの日だけなんだ。本当にたまたまだった…」
「たまたま出会った?じゃぁ、どうしてパンケーキだったの?」
「パンケーキ?別に…たまたま?」
「たまたまパンケーキ?ふふっ『たまたま』ね。……じゃぁ、たまたま恋人?」
「それは違う!……明日、家に来れる?昼頃迎えに行くから」
「わ、わかった…」

 

変じゃないかな?朝から鏡の前で何度も確認する。お昼少し前、ドアをノックする音が部屋に響いた。
「ちょっと待って!」
最後にもう一度鏡を覗いてからドアを開けた。
「準備出来た?」
「変じゃないかな?」
「大丈夫、いつも通りかわいいよ。行こう!」

さらっと言われた言葉と、繋がれた手…もう幸せ過ぎて死にそう。
ジミー君の家は城下通り。ご両親と二人の妹さんの五人で暮らしている。
「ただいま、連れてきたよ」
「こんにちは。は、はじめまして!ココリネといいます」
「いらっしゃい。どうぞ掛けて」
テーブルの上にはクッキー、プリン、パウンドケーキ、タルトにゼリー、そして…パンケーキ。ところ狭しと並べられ、パーティーでも始まりそうな雰囲気だ。そして熱々の紅茶が運ばれてきた。
「さぁ、始めましょ!ジミーは邪魔だから、探索にでも行って」
「はあ?」
「女同士の話なの!ほら、行って行って!」

えっ?本当に行くの?置き去り?ええーっ!

「邪魔者はいなくなったわね。さぁ始めましょ、紅茶が冷めちゃうわ」
「…あの、これは…?」
「見ての通り女子会よ。あなたを呼んだのは、ただ話がしたかっただけ。かしこまらなくて大丈夫」
「ねぇねえ、お兄ちゃんってココリネちゃんの前ではどんな感じなの?家ではいつも仏頂面であんま喋んないし、脳筋でしょ?つまんなくない?」
「えっと…結構おしゃべりしてくれます」
「普通に話して!私たち同い年だしね」
私は戸惑いながらお母様の方を見た。お母様はクッキーを口にポイって放り込んで、紅茶を口にした。
「私も堅苦しいの嫌いなの、敬語とか要らないわ」
そう言って私にお菓子を勧めてきた。フッと肩の力が抜け、お菓子に手を伸ばす。そして他愛もないおしゃべりが始まり、次から次へと話題が変わっていく。あっという間に外が薄暗くなってきた。
「ココリネ、親の私が言うのも何だけど…ジミーはいい子に育ってくれた。ただ…恋愛に関しては、よちよち歩きだからリードしてあげて」

「そんなことない!ちゃんと引っ張ってくれてるよ。ちょっと強引な時もあるくらい…」
「へぇ~。じゃぁ、もうお兄ちゃんとキスぐらい…した?」
私は真っ赤になってうつむいた。
「やっぱりしたんだ!初デートの時でしょ?帰って来たお兄ちゃん、変だったもん!ボーッとしてるかと思ったら、急にニヤニヤしだして…絶対エッチなこと考えてた!」
「こらっアマリア!そこまで言わない!」
もう…穴があったら入りたい…
「ただいま…」
「あ、お帰り!早かったわね?」
「早くないだろ、もう夜だし。まだやってたの?」
「じゃぁ、そろそろお開きにしましょ。ジミー、送ってあげて」
「ココリネちゃん、楽しかった!またね。お兄ちゃん、そのまま帰って来なくてもいいよ~♪」
「アマリア!!」