11th◇騎兵と山岳兵
▶シェアトとフランシス。同級生で似た者同士の恋模様。
―補足―
二人とも性格は『おおらか』で『アカデの力』の因子を持つ。相性的には最悪だと思われる二人が仲介ナシでくっつきました!(口調は捏造です)
☆シェアトの心の声
★フランシスの心の声
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「あたしはシェダルじゃない!身代わりのつもり?ふざけないで!!」
『バカなこと言うなよ!んな訳ないだろ!』
☆
この話になるといつも喧嘩。きっとお互い素直じゃないのよ…。ずっと友達で良かったのに…それを壊したのはそっちでしょ。
★
だいたい君が俺の気持ちを弄ぶから、こんなことになったんだろ!全く…昔っから変わんねぇな。そのプライドだけで騎兵になったんだろ?
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一年前…
「探索行こうよ!あたし選抜トーナメントに登録したの。一緒に強くなろうよ」
『よし!んじゃ行くか』
子供の頃の延長で、恋愛感情なんて一切ない。お互いメリットがあるから一緒に探索に籠るようになった。成人式を終えたばかりで、魔獣の森ですら一人では手こずってたし、利害が一致した…ただそれだけだった。
☆
そんな関係を壊したのはアイツ。何よ!いきなり告白なんかしてきて!あたしは今、一番大事な時なの。夢を叶えるための第一歩…絶対騎士隊に入隊するんだから!
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こんだけ毎日一緒に過ごしてたら…そりゃ……好きになるだろうが!俺のことは都合のいい山岳兵って位置付けかよ。
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〈あのねぇ、フランシス君は好きな人いる?いないなら、わたしがお嫁さんになってあげてもいいよ!〉
拗れた関係はこの事でますます拗れてしまった…
☆
なっ、何?あたしの妹(シェダル)とそういう関係なの?振られたからって、妹に乗り換えたってこと?信じらんない…妹はまだ子供よ!そんなヤツだと思わなかった!
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子供の言うこと本気にするなよ。俺はそんなつもり一切ない!君の妹だから仲良くしてたんだろ。そんなことも分かんねぇのかよ!
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『シェアト、ちょっと来い。話がある』
「嫌よ!聞きたくない。シェダルにコクればいいでしょ!この時間なら成人式は終わってるわ」
『もういい…。鎧、似合ってる…入隊おめでとう』
☆
フランシス…ごめん。あたし…素直になれない。こんなあたしより、妹のシェダルの方が可愛くて…きっとあなたに合ってる。
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もうムリなのか?そうだよな…もし俺を選べば、君が必死で手に入れたものは手放さなきゃいけなくなる。小さい頃から何度も聞かされてきた『龍騎士』になる夢だって叶わなくなる。そんなこと…俺には出来ない…。
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〈お姉ちゃん、わたし恋人出来たの!相手…誰だと思う?〉
「えっ…そうなの?おめでとう!相手は誰よ、早く教えなさい(まさか…フランシス?)」
〈ジェローム君だよ!…子供の頃からずっと好きだったんだ♪〉
「………そう、良かったわね!」
☆
何…?今、すごいホッとした?………えっ?
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「フランシス………話がある」
『何?なんか悪いものでも食った?』
「茶化さないで!ちゃんと聞いて………」
『……待って。俺に……言わせてくれない?』
「何の話しか分かってんの?」
『シェアトが好きだ!…山岳リットン家の……俺の嫁になれ!』
「嫁!?それは………まだ返事出来ない。だけど、恋人なら…」
『相変わらず素直じゃねぇな!ちゃんと俺のこと好きって言えよ』
「………フ、フランシスが…好き………」
『よし、これで俺のものだな!覚悟しろよ、絶対逃がさないからな!』
「やっぱり早まったかな?今のナシ!リセット!」
『させねぇよ!』
☆
山岳とか騎兵とか…どうでもいい。龍騎士になる夢だって、元々は将来山岳兵隊長なるあなたと対等でいたかったから思いついただけ…。あたしはフランシスがずっと好きなんだって…やっと分かったんだもん!