sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

wilma◇4.龍騎士(ジミー編)

結婚式を終えて、ジミー君と新居へ向かった。城下通りにある二階建てのお屋敷。
「うわぁ、ひろーい!明るくて素敵な家だね、今日からここでジミー君と一緒に住む…のよ…ね……………」
「さぁ、座って。パンケーキ焼けたよ」
「ありがとう!緊張して朝から何も食べれなかったから…いただきます!ジミー君は食べないの?」
「僕は、いいよ。君を見てるだけでお腹一杯だ!ゆっくり食べてて、ちょっと出掛けてくるから」
そう言って家を出て行った。広々した部屋に一人残され、ガランとした空間が急に緊張と淋しさを増長する。

「……………インテリアでも…飾ろう」
前の部屋から持ってきた物を飾ると、少しホッとする。見知ったのものがあるだけで落ち着くなんて単純だな。二階はどんな部屋かな?ベッドが3台…これが埋まる日が来るのかな?ジミー君はどこに寝るのかな…?って……何考えてるのよ!


「ここにいたの?」
「ひゃっ!びっくりした…。お帰りなさい」
「はい、これココリネちゃんにプレゼント。結婚の記念に」
「えっ?わざわざ買って来てくれたの?嬉しい…でも私、何も用意してない」

「じゃぁ…ココリネちゃんにリボンでも付けようかな?」
「??……………えっ!?」
その意味を理解した瞬間、無意識に後退った。ニヤリと微笑ったジミー君にさっと距離を詰められ腕の中に閉じ込められる。
「逃がさないよ」
ベッドに縫い付けるように押し倒される…顔から火が出そうなくらい恥ずかしい!
「またその顔…絶対煽ってるよね?そんな顔…僕の前だけにしてよ…」
そう言って唇を塞がれる…徐々に深くなるキス…いつの間にか私はジミー君の首にしがみつき、自分から求めていた
「ココリネちゃんの舌…エロい…」
ハッと我に返り、また顔が紅潮していく。
「だからその顔は…。そんな潤んだ眼で見つめられたら…優しく出来ない」

汗ばんだ体を重ねる…ジミー君の男の匂いが私の脳を刺激する。初めての夜は、お互いを本能のままに欲し…激しく、しかしゆっくりと更けていった。

 

「おはよう」
「お、おはよう…。いつから見てるの?……もう!そんなに見ないでよ」
「いつまででも見てられる」
「あ、お腹空いた!ご、ご飯食べよう」
恥ずかしくて、まるで学芸会のセリフみたいに棒読みだ…。

「いただきます。ジミー君は今日も探索行くの?」
「ああ。でもエルネア杯の決勝戦は見に行くよ」
「もう決勝戦かぁ、あっという間だね」
「特に今年はいろいろあったからね。じゃぁ、行ってくる」
「待って!私も決勝戦見に行くから、待ち合わせしない?」
「もちろん!じゃぁ、後で闘技場前で待ってる」
「うん、いってらっしゃい!」
ジミー君が家を出た後、私は自分の体の変化をもう一度確かめる。間違いない…

夕刻までの時間はあっという間。急いで闘技場へ向かう。
「お待たせ!」
「何だか、待ち合わせって久しぶりだね。じゃぁ、行こうか」

いつものようにスッと手を繋いでくれる。こういう何気ない優しさが大好き…
エルネア杯の決勝。闘技場の中は大勢の人でごった返していた。
「すごい人だね!」
「こんな大勢の観客の中で闘うって…どんな気分なんだろう?」
「次はジミー君自身が体験出来るんじゃない?」
「…4年後か、そうなればいいけど」
「きっとなるよ!そして私はジミー君を一生懸命応援する。ナトルに通うこの子と一緒に!」
「……えっ?ココリネちゃん?」
「うん、赤ちゃん授かったよ…」
勝戦が始まろうとする緊迫した空気の中、ジミー君の声が闘技場の中にこだました。
「やっったぁーーー!!」

 

八年後…
エルネア杯決勝。ジミー君が闘技場の真ん中に立つ。そして私は…武器を構えジミー君と対峙した。
「手加減なしだからね!」
「挑むところだ!本気でいくよ!」
ジミー君は騎士隊長として、私は魔銃導師として、全力で闘った。
「そこまで!勝者、ジミー・ブライトマン!」
割れんばかりの歓声と拍手、ジミー君は高々と両手を掲げた。
「おめでとう!完敗だよ…ジミー君強くなったね。バグウェルとの対決、頑張って!」
「ありがとう。ココリネちゃんのお陰でここまで来れた。必ず龍騎士になるから!」

私は騎士隊には志願せず、魔銃兵の道を選んだ。理由は…ジミー君と対決したくない、ただそれだけ。だからジミー君とはエルネア杯の決勝で闘うって決めた。今日、その夢が叶った。

 

白夜。ジミー君はバグウェルを叩き伏せ、龍騎士になった。闘技場の真ん中で余韻に浸るジミー君の所に、四人の娘と共に駆けつけた。
「おめでとう。すごくカッコよかった!」
そう言って飛び付いた私を受け止めてくれる。
「そんな身重な体で何かあったらどうするの?」
「大丈夫だよ。もう五人目だし、余裕!ジミー君とも全力で戦ったでしょ」 
「もう、こんなところでイチャつかないでよ、恥ずかしい!」
とっくに成人した長女があきれた声を出しながらも
「父さん、おめでとう!」
「パパ、おめでとう」
龍騎士になるという夢を叶えた父親を、娘たちが誇らしげに讃えた。

前大会で、私は龍騎士の称号を得た。そして今年はジミー君が龍騎士になった。

 

次も(は)負けない!って言い合ってたのに…
「ココリネちゃん…ありがとう」
来年の白夜を待たずにジミー君は私を置いてガノスへ旅立った。ずっと一緒だって…言ったじゃない……