11th◇会えない時間…
あれから三日…ジェローム君と会えない日が続いてる。
どうしたのかな?具合悪いのかな?……それとも…わたし嫌われちゃったのかなぁ?
先に距離を取ったのはわたし。だって、ジェローム君のそばにいると、ドキドキして心臓が壊れちゃいそうで…。ずっと一緒に遊んでたのに『恋人』って関係になった途端、恥ずかしくなっちゃったの。そんなわたしをジェローム君は優しく包んでくれた。だから勇気を出してデートしたの。なのにそれ以来、会えなくなって…。
とうとう年が明けた。会うどころか姿すら見かけないジェローム君、元気にしてるんだよね?
人伝に、探索に行ってるようだと聞いた。ジェローム君の得物が斧だから坑道跡だと思って何度か行ってみたけど、やはり会えなかった。あぁぁぁ…本当に嫌われたのかな……。
仕事を終えて、ゆっくりお風呂に浸かって、今日もジェローム君に会えなかったなぁ…久しぶりに声くらい聞きたいなぁ………なんて考えてたら
「シェダルさん、会えて嬉しいよ」
突然背後から大好きな人の声がして…幻聴?どうせなら幻覚も現れてくれないかしら…なんて思ってたら、ギュっと抱き締められて…おまけにキスまで!
「ごめん…しばらく会えなくて」
「どうしてたの?全然会えなかったからっ…ふえっ……ジェローム君のバカァァァ…………」
「………本当にごめん!」
「ずっと何してたの?わたしのこと…嫌いになった?」
「そんな訳ない!大好きだよ!」
「じゃあ…何してたのよ!六日も会えなくて…すごく淋しかった!」
聞くと、魔獣の森でたまたまビーストセイバーを手に入れて、その剣がしっくりきて、おまけに切れ味もよくて、敵を倒すのが面白くなって、探索に明け暮れてしまった…と。
わたしは魔獣より魅力ない?ペピッサやガロッサに負けた?聞けば聞くほど落ち込んでくる…
「じゃあ、今度からわたしも誘ってよ。一緒に行くから!」
「でもシェダルさんはラダのお世話しないといけないでしょ?」
「いいの!絶対誘ってよ」
ラダなんかよりジェローム君と一緒にいたいの。探索でも釣りでも何でもいいから一緒にいたい…。ジェローム君はそう思ってくれてないのかな?
ジェローム君から見ればわたしって子供みたいだよね…童顔だし…胸だって全然成長してないし…はぁぁぁ、もっと…こう…色気があればなぁ……………
「何ブツブツ言ってるの?もう家に着いたよ。じゃあ、またね」
「ジェローム君が大好きなのっ!」
もう少し一緒にいたくて引き止める。
「シェダルさん…私がどれだけ我慢してると思ってるの…こんなことされたら…」
ジェローム君の優しいキス…じゃない!ふぁっ…立ってらんない……ダメ…なのに…
「シェダルさん…これ以上煽らないで…………また…ね…」
いそいそと帰ったジェローム君。……ジェローム君、真っ赤だった……わたしも負けないくらい真っ赤だよね。暑い…両手で顔を扇ぐ。さっきのキスは…大人のキス…だよね?ほんの数分前のジェローム君の温もりを思いだし…全身が火照る。しばらくの間、この火照りは波のように押し寄せ、なかなか引く気配をみせなかった…。