sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

12th◇主導権

エレナさまと出会ってから、私の価値観は一変した。それまで龍騎士の称号を得た自分より強い人がいるなんて考えもしなかったし、自分が最強だと思っていた。その私が彼女にあっさり叩きのめされたんだ…。

エレナさまは旅人で、見た目はミステリアスな美女。ただ…いつも神経を尖らせてるようで、全く隙がない。この国は平和だし、そんなに肩肘張らなくても大丈夫なんだけどな。それを分かって欲しくて釣りやら採取やらに連れ出した。

これまで全くと言っていいほど女性に興味がなかった私が初めて興味を持ったんだ。最初は武人として興味を持ったんだけど、いつの間にか女性としてエレナさまに惹かれていた。結婚する気も恋人を作る気もなかった私が、生まれて初めて『ずっと一緒にいたい』と思ったんだ。

 

「エレナさまのこれからの旅路に………あ、あの!これからはこの国で一緒に過ごしませんか?」

年の瀬にとんでもない事を口走った。まだ告白すらしていない相手にプロポーズまがいの事を言ったんだ…。慌てて取り消したけど、そんなの後の祭り。でも、これで自分の気持ちがハッキリした。

 

気付いてしまうと、逆に気恥ずかしくなって…どう接すればいいのか分からなくなった。いい年して初恋かよ!って言われそうだが、実際…恋愛初心者なんだ。人気者だとか、モテるだとか言われ、その気になって軟派な男の様に振る舞ってきたが、本当はその辺のナトルに通う子供と大差ない…。

エレナさまを幸運の塔に誘いたい!そして『好きだ』と伝えたい。でも、断られたら…そう思うと中々言い出せなかった。

 

 

「あのさ…二人でどっか行かない?」

エレナさま…待って、私が誘うはずだったんだ!でも、断る事なんて私には出来ない。

「いいね♪」

告白はエレナさまからだったけど、この先は私がリードするからね。そう思ってたのに…

 

「ルクバさん、明日デートしない?」

「ルクバさん、デート行こ♪」

「明日もデートしようよ!」

もうっ!エレナさまに何もかも先を越されちゃう。決して待ってる訳じゃない、エレナさまが早すぎるんだよ…たまには私からも誘わせて。

 

そんなこんなで毎日デートを重ねて、楽しい日々を過ごしてる。まぁ、そうなると次第に『結婚』って言葉がチラつく。私もいい歳だし、この勢いに乗ってもいいんじゃないかと思うんだ。

「エレナさま、明日デート行かない?」

「もちろん♪」

初めて私からデートに誘った。だって明日は私の誕生日なんだ、そりゃあ…一緒に過ごしたいに決まってるじゃないか。

それともう一つ、決めてたことがある。誕生日にプロポーズしたいんだ。(本当はエレナさまの誕生日が良かったんだけど、間に合わなかった…)だから明日、神殿に誘うよ。エレナさまも楽しみにしてて♪

 

「ルクバさん、お誕生日おめでとう!今日はわたくしが料理を用意したから、たくさん食べてね♪」

エレナさまの手料理が所狭しと並べられたテーブルに付き、いつもの様に他愛もない話で笑い合いながら、料理をゆっくり味わった。

さて、そろそろ…鞄に忍ばせたエンゲージリングに手を伸ばす。

「ねぇ、ルクバさん。突然だけど、今からデートしない?」

待ってよ!だからエレナさま、早いって!!私の計画が…………

「いいね、行こう♪」

そう言うしかないだろ…エレナさまの落ち込んだ顔なんか見たくないし、させたくないよ。

 

結局、プロポーズもエレナさまからという事になった。終始エレナさま主導で事は運んだ。ま、いいか!どっちから誘っても、きっと結果は同じ。いや…エレナさまが引っ張ってくれたから、ここまで順調に進んだんだろうな。

 

 

結婚式は明後日。その前に、明日はエレナさんの選抜トーナメントの初戦だ。大丈夫だろうけど、一生懸命応援するよ!そして無事に入隊出来ると信じてる。(私はクビになりそうなんだが…)

 

 

 

ーおまけー

「あのねぇ、ルクバは…好きな人いるの?」

え………っと、ほんの数刻前に婚約したんだよ。ごめんねエルシーちゃん…でも、そう言ってくれて嬉しいよ。

「うん、大好きな人がいるよ♪明後日にはその人と結婚するんだ。エルシーちゃんもそう思える人にきっと出会えるよ」