sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

wilma◇1.友達(ダミア編)

今日から僕も先輩だ!
30日生まれの僕は『ひとつお兄ちゃんになっちゃった』と自慢気に話してくる友達が羨ましかった。やっと昨日3歳になった。そしてやっと僕より年下が入学して来るんだ!


同級生のミーネが小さな女の子を連れてきた。女の子たちが二人の周りに集まる。
「昨日入学した妹のリネミーよ、仲良くしてあげてね」
「リネミーちゃん、はじめまして。よろしくね」
リネミーは姉の後ろに隠れて恥ずかしそうに小さな声で
「は、はじめ…まして…」
「ほら、もっと大きな声で!ごめんね、この子2歳になったばかりで…」
あの子も年末生まれか…大変なことは僕自身がよくわかってる。


「一番乗り~!」
翌日、早めに学校に着いたのでそう思った。でも、違った。
「あ…ごめんなさい…」
「二ば~ん!早いね、こんな時間に来てるの?」
「うん…わたし鈍間だから…」
「僕も30日生まれなんだ!君より1年先輩だけどね。だから僕も最初はみんなに付いていくのキツくて…。でもちゃんと出来るようになるから、大丈夫だよ。困ったことがあったら言ってね」
それから少しずつリネミーと言葉を交わすようになった。


「ダミア君、ちょっと聞いてもいい?」
「あ、リネミー。何?どうかした?」
「何、何?ダミアに用って?君、かわいいね。俺はロング、よろしく」
リネミーは怯えた顔をして
「ご、ごめんなさい」
そう言って教室を出て行った。


ロングと東の森で遊んでるとリネミーを見かけた。一緒に居るのは…お父さん?
学校では見たことない笑顔で、楽しそうにおしゃべりして、声をあげて笑ってる。
「ふーん。あんな顔するんだ…」
「何か言ったか?」
「いや、別に」
ロングが僕の視線の先を見る。
「さっきの子じゃん。もしかしてお前…?えっ?」
「そんなんじゃない!ロング、牧場行くぞ!」
「お、おう…」


「リネミーおはよう。今日も早いね」
「おはよう…ございます」
それから僕は毎日早めに学校へ行って、リネミーに挨拶するようになった。
「あの…リネミーと友達になりたいんだけど」
「そんなこと言わなくったって、ダミア君はお友達だよ」
友達になって1年が過ぎ、僕たちは仲良しになっていた。けど…
「リネミー、遊びに行かない?」
「…ごめんね、ちょっと用があって…」
学校が終わって誘っても、いつもこの答え。
「何の用事?いつだったら一緒に遊んでくれる?」
「……じゃぁ、明日なら」
リネミーはそう言って、走って学校を出た。僕は…悪いと思いながらも後をつける。
やっぱり薬師の森へ向かってる…そしてやっぱりあの人だ。リネミーのお父さんは騎士隊長だから、魔銃師会の服を着ているあの人はお父さんじゃない…お兄さんもいないはずだ。誰なんだ?気になって仕方ない…。リネミーが帰った後、その男の人に声をかけた。
「すみません、リネミーとはどんな関係なんですか?」
「うーん、友達?かな…。君は?」
「あ、ごめんなさい。リネミーの友達で、ダミア・ペトレンコです」
「よかった、リネミーにも友達出来たんだ。あの子、人見知りだからちょっと心配してたんだよね。リネミーのこと、よろしく」
「あ…はい。任せてください」
結局、どんな関係なのか分からなかった。友達って言ったけど、お父さんくらいの年齢の人だ…何か違う気がする。


「リネミー、遊びに行こう!」
「うん!」
初めて僕の誘いに答えてくれた。それだけで嬉しい。舞い上がった僕はリネミーの手を取り、牧場まで走った。
「とうちゃーく!何して遊ぶ?」
「ダミア君、待って。は、速いよ…」
「あ、ごめん。大丈夫?少し休もうか?」
女の子って…こんなことで息が切れるの?男としか遊んだことなかったから、加減が分からない。
「だ、大丈夫!ねぇダミア君はラダを触ったことある?」
「もちろん!いっつも触ってるよ」
「えー、そうなんだ…怖くない?私、触ったことないんだ…どんな感じ?ゴワゴワしてる?」
リネミーの小さな手を握って、ラダの足に一緒に触る。
「フワフワだ!わぁ、気持ちいい…。ねぇ、私にも触れたよ!」 
振り向いたリネミーの顔が近くて、思わずのけ反った。その反動で僕は尻餅をついた。いたた…
「っ!!リネミー大丈夫?ごめん…」
僕に巻き込まれて一緒に倒れ込んだリネミーが突然大声で笑いだした。
「ふふっ…あははは!ダミア君大丈夫?」
初めて見た…屈託なく笑う君の笑顔。やっとリネミーと本当の友達になれた気がした。


「ダミア君、お誕生日おめでとう。いよいよ卒業だね、私も早く大人になりたいな~」
「リネミーこそ、お誕生日おめでとう。これプレゼント…受け取ってくれる?」
「えっ…どうしよう…私何も用意してないよ…」
「そんなこと気にしなくていいから、受け取って。リネミーのために用意したんだ」
「あ、ありがとう。じゃぁ明日、成人のお祝いに何か用意しておくね」