sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

wilma◇3.想い(ダミア編)

年が明け、今日はリネミーの結婚式。
ウェディングドレスを身に纏ったリネミーはすごく綺麗で…そして幸せそうに笑っている。
これで…本当に終わりにしなきゃ。これからはリネミーを友人として見守るんだ。スウィアさんは踏み出した…僕だって前を向かなきゃな!

「ダミア、飲みに行くぞ!」
「まだ昼だぞ!」
「ま、たまにはいいだろ」
集まったのはロング、ベニート、ベルナルト、アントニオ。それなりにリネミーと関係のあった男ばかり…それぞれに思うところがあるんだろう。
「じゃぁ…リネミーの結婚を祝って、乾杯!」
僕たちは飲んで食べて騒いだ。…次第に酔いが回り、昔話が始まった。
「ここにいる全員、リネミーのことが好きだった…じゃぁ、告白した人?」
「…………」
「誰もいない?ダミアは?お前は告白したんじゃないの?」
「…確かに、何度か幸運の塔には誘った。でも…一度も付いて来てはくれなかった。結局、告白さえ…させてもらえなかった」
「ダミアもか…」
みんな同じだった。幸運の塔に誘っても、リネミーが首を縦に振ることはなかった…
「…って言うか、何であんなオヤジと結婚なんか!年なんか12歳も違う。12って…下手するとじいちゃんでもおかしくないだろ?」
「そうだよな!髪だって真っ白だし、ましてや赤ちゃんなんて授かれないだろ!リネミーが不幸になるだけだよな」
「やめろ!!二人のこと、何も知らないくせに!」
「じゃぁ、お前は何を知ってるって?」
「……帰る」

店を出たものの家に帰る気も起こらず、なんとなく畑へ向かった。もうすっかり日も落ちて真っ暗だ。畑の隅に腰を下ろす。春だというのに、風が冷たい…

「ダミア…大丈夫か?」
「何しに来た?放って置いてくれ…」
声の主は親友のロング。そのまま隣に腰を下ろす。
「寒いな…」
そう呟いて僕にピッタリくっついて、腕を僕の肩に回す…
「ダミア…お前、本気だったんだな。茶化して悪かった…ごめん」
僕は泣いた…。親友は何も言わず、ただ隣に居てくれた。
「ロング、お前はどうやって忘れた?」
「忘れてなんかない…ちゃんとここに仕舞ってる。忘れる必要なんてないだろ?」
「…忘れてない?」
「ああ、忘れてないよ。俺の歴史だ、ちゃんと覚えておかなきゃ、今の俺が俺じゃなくなる…。リネミーのことは大好きだ、そして今の恋人はもっと好き。まぁ、そんなヤツ最低だって世間は思うだろうけど、俺は忘れたくない。あの頃も、今も…好きなもんは好き。簡単に嫌いになったり、忘れたり出来る訳ないだろ?」
「やっぱ最低だな…お前。でも、ありがとう」
僕は…忘れようと必死だった…無理に忘れなくてもいい…の…か…。

「ま、兄貴も散々なんだけどな!シュワルツ家、大丈夫かよ…」
「ベニートが?」
「俺から聞いたって言うなよ!」
ニートは僕たちの二つ年上で、山岳シュワルツ家の跡取り。結婚して子孫を残す…それが義務みたいに教えられるのが山岳家の跡取りだ。
「兄貴は成人してすぐに恋人が出来たんだ。跡取りには結婚出来る条件があるだろ?一応彼女はその点に問題はなかった。その時は俺もこの人が義姉になるんだろうなって思ってた。兄貴とリネミーは仲がよかったけど、兄と妹…そんな感じだった。兄貴の気持ちが変わったのはリネミーが成人してから。奏女になったリネミーに毎日会いに行って、恋人とのデートもすっぽかしてリネミーを追いかけてた。とうとう恋人が怒って、逆プロポーズ。『私と結婚して!出来ないんなら別れる』って…。で、結局…兄貴たちは別れた。そのあと兄貴はリネミーに猛アタック。まぁ、お前と同じく告白までいかなかったみたいだけどな。…そろそろ帰ろう、尻が冷えて痛い」
既に夜4刻を過ぎてる。家に着く前に夜が明けそうだ。


あれから6年…。リネミーとまだ幼い二人の娘を残し、あの人がガノスへと旅立った…。
僕は今も山岳兵で、姉夫婦の世話になっている。

「ダミア、いい加減結婚して山を降りなさい」
いつもの姉の言葉…

「じゃぁ、誰か紹介してよ」
いつもの僕の返事…