sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

10th◇1.葛藤

僕の夢…
ローゼル近衛騎士隊に入って、エルネア杯に出る。そして龍騎士になる!いつからそう思ってたのか忘れたけど、それが僕の夢なんだ!

ナトルに入学してからは、早く強くなりたくて、とにかく探索に行った。学校が終わると森の小道へ直行し、夕刻まで探索。それからお風呂に入って夜までには家に帰る。それが僕の日課

僕がリュラエちゃんと出会ったのはナトル2年生の夏。いつも通り探索に行ってたんたけど、その日は遅くなってしまって急いでた。走って木造橋を渡ってるとき、小さな女の子とぶつかったんだ。
「あっ、ごめんなさい!大丈夫?」
「うん…大丈夫」
「怪我しなかった?痛いとこない?ごめんね…ちょっと急いでたから」
「へーきだよ!じゃぁね、バイバイ」
僕の記憶では、これが最初の出会い。

2度目に会ったのは冬になってすぐ。ヤーノ市場でばったり会ったんだ。
「こんにちは!あ…あの…覚えてるかな?」
「うん!覚えてるよ。橋の上でぶつかったお兄ちゃんだよね?」
「僕はアントニオ・ピンタード、よろしくね」
「リュラエ・クルマンです。お兄ちゃんのお名前ピンタードなの?でもお家は山岳区じゃないよね?」

「うん、城下だよ。ご先祖さまは山岳兵だったらしいけどね」

そして僕たちはすぐに友達になった。


「アントニオ、これから森の小道に行かない?」
「うん、一緒に探索だ!」
初めてリュラエちゃんと探索に行ったんだけど、僕のほうが年上なのにリュラエちゃんはすごく強かった。
「リュラエちゃん強いね!」
「……父ちゃんに鍛えられてるの」
「いいなぁ、僕も鍛えてくれないかな?リュラエちゃんみたいに強くなりたいな」
「あたしは…強くなりたくないの…」
「そうなの?リュラエちゃん素質あるのに!」
「あたしは…強くなんてなりたくないの!女の子は強くなくていいの!アントニオ、なんにも分かってない!」

 

 

ナトル最上級生になり、ますます探索に明け暮れていた。
「リュラエちゃん、また強くなったね。僕だって頑張ってるんだけどな…」
「アントニオはなんで強くなりたいの?」
「僕は大人になったら騎士隊に入りたいんだ!」
「そうなんだ。アントニオならなれるよ!あたしが応援する。だから、絶対なれるよ!」
「ありがとう。リュラエちゃんの夢は?大きくなったら何になりたいの?」
「えっ?アントニオ…本当に知らないの?あたしは…山岳兵隊長になるんだよ…生まれたときから決まってる!決められてるの!」
僕はリュラエちゃんが山岳家の跡継ぎだって知らなかった。
「ごめん…僕、なにも知らなくて」
後にこの事でリュラエちゃんを苦しませる事になってしまうんだよな…。

 

 

待ちに待った成人式。式が終わったらすぐに騎士隊の選抜トーナメントにエントリーした。勝ち上がれるかは分からないけど、挑戦しなきゃ始まらない。

「こんにちは、アントニオ…大人になったんだね。なんだか不思議な感じ」
「リュラエちゃん。どう?カッコよくなった?」
「うん、カッコいい!でもアントニオはアントニオでしょ?これからもあたしと遊んでね」
その無邪気な笑顔が可愛い。僕は大人…そしてリュラエちゃんは子供…昨日までとは違うこのもどかしい感じは何なんだ?

 

選抜の試合は散々だった。まぁ1年目だし、仕方ないな…
「アントニオ、残念だったね…」
「うん…まだまだだな!さぁ、探索行ってくるね!リュラエちゃん慰めてくれてありがとう」


次の年もまた選抜トーナメントにエントリーした。

「アントニオ、一緒に魔獣の森に行かない?」
「もち…ろん…」
えっ?リュラエちゃん?成人したんだったね…びっくりした、すごく綺麗になってる。リュラエちゃん…強いな…探索中もずっと敵じゃなくてリュラエちゃんを見ている。だって、斧を振り回すリュラエちゃんがカッコよくて、強くて、僕の出番なんかないんだ。


それから毎日一緒に釣りしたり、探索に行ったり。僕はリュラエちゃんと過ごす時間が楽しかった。でもリュラエちゃんは人気者…いつも誰か(ほとんど男)と一緒だ。僕はリュラエちゃんにとって、ただの仲の良い友達のひとりなんだろうな…

たぶん…いや、きっと僕はリュラエちゃんが好きなんだ。でも、それを否定しようとする心があることも事実。リュラエちゃんは山岳家の跡継ぎ。もし…リュラエちゃんと結婚すれば、僕の夢は叶えられなくなる。ずっと追い掛けてきた夢とリュラエちゃんが好きだという気持ち…僕にとってはどっちも大事なんだよ…どっちか選べ?そんなの選べるわけないじゃないか!

僕が悩んでる間に、リュラエちゃんに恋人が出来るかもしれない…分かっていても、なかなか答えは見つからなかった。