sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

10th◇3.決断

初デートは幸運の塔。
「リュラエちゃん聞いてる?どうかした?」
「えっ?あ…うん、ごめん」
この時、僕はリュラエちゃんが悩んでるなんて、全然知らなかった。僕がちゃんと話してやらなきゃいけなかったのに、舞い上がって…自分だけ納得して解決してると思ってたんだ。

 

それからも僕は毎日リュラエちゃんを誘って、一緒に過ごした。

「アントニオ、毎日会ってくれるのは嬉しいんだけど…ちゃんと探索行ってる?」

「あ、あー…うん。大丈夫だよ」

「じゃあ、これから魔獣の森に行かない?」

「もちろん、行くよ!」

あれから探索にはほとんど行ってない。もう行く必要もないし…

「アントニオ、剣が錆び付いてる。どうしたの?あんなに頑張ってたじゃない…もしかして、あたしのせい?」

「違うよ!……でも、ごめん。リュラエちゃんに口出しして欲しくない」

「わかった……」

 

星の日。

「リュラエちゃんデート行こう」
やっぱり星の日はデートしなきゃ。そう思ってリュラエちゃんを誘ったんだけど、水源の滝までの道のりをずっと黙って付いてくるリュラエちゃん。何かいつものリュラエちゃんじゃない。
「リュラエちゃん?どうかした?この前のこと…まだ怒ってる?」
「アントニオ………やっぱりあたしと別れて!」
な、何…言ってるの?えっ…?
「……………やっぱり僕に幻滅したよね?……それとも…他に好きな人ができた?」
「ち、違うよ!アントニオが好き…大好きだよ!だから…あたしと別れて欲しいの!」
「どういうこと?ちょっと待って…ちゃんと分かるように説明してよ…」
目の前でポロポロと涙を流すリュラエちゃん…
「泣いてちゃわからないよ…何があったの?」
近くの岩に座らせ、リュラエちゃんが落ち着くのをただ黙って待った。

「あ…あのね…アントニオが好きなの…だからっ…このままあたしと一緒にいたら…アントニオは夢を諦めなきゃならない!そんなのヤダ!絶対ダメ!ダメだよ…」
「えっ?まさか…そんな事で別れるつもりだったの?」
「そんな事?そんな事じゃない!大事なことだよ!アントニオの夢は『そんな事』じゃない!!」
「リュラエちゃんありがとう。僕だって悩んだよ…それでもリュラエちゃんのそばにいたいって思った!だから…ずっとそばにいるって決めて告白したんだ。もし、君と別れて夢が叶ったとしても…きっと後悔する。ごめんね、もっと早く伝えなきゃいけなかったね。本当にごめん!」
「アントニオ…本当にいいの?龍騎士には…なれないんだよ?」
「じゃぁ…突然だけど、今から神殿に行く?」
「えっ?ちょっと…待って…それって…」
「僕はいつでも準備できてるよ。指輪だって鞄に入ってる。だから別れるなんてムリ!僕にはリュラエちゃんしかいないんだ…絶対に離さないよ!そう言ったよね?」

こくりと頷いたリュラエちゃんを抱き締める。こんなに苦しめたのは僕だね…本当にごめん…

 

 

「アントニオ、今から魔獣の森に行かない?」
「僕は、神殿に連れて行きたいんだけどな~」
29日はリュラエちゃんの誕生日。酒場でデートしたあと、探索に誘われた。
「アントニオごめんね。神殿は…もう少し待って…」
あれから僕は、毎日のようにリュラエちゃんを神殿に誘っていた。なかなか首を縦に振ってくれないけど、僕の気持ちは伝わってるはず。

 

 

年が明けた。今日も指輪を持ってリュラエちゃんに会いに行く。
「「突然だけど、デートしない?」」
お互い顔を見合わせ笑った。
「「じゃぁ神殿に行こう!」」
リュラエちゃんは今日成人した妹に山岳兵隊長の継承権を譲って僕の元へ来てくれたんだ。
「そんな大事なこと…相談ぐらいしてくれてもよかったんじゃない?」
ちょっとむくれてみたけど、リュラエちゃんが満足そうに笑ったんだ。

「さぁアントニオ、探索行くわよ!」

「はい、お供いたします」

「何言ってるの?あたしがお供するのよ。ちゃんと鍛えて上げて、龍騎士にしてあげるから覚悟してね!」

あ~あ、僕の負け。でも最高に幸せだ!