11th◇大人の恋って…
「あのね、ジェローム君は、好きな人…いるの?」
二つ年上のジェローム君とは、ナトルに入ってから仲良くなって、毎日一緒に遊んだの。彼が去年成人してからは会うことも少なくなったけど、それでも大切なお友達。そんな彼が、たった今…振られたの。たまたま遭遇した告白シーン。振られた直後のジェローム君と目があった…
「や…やぁ、シェダルちゃん。……なんかカッコ悪いとこ見られちゃったな」
「そんなことない!ジェローム君はカッコ悪くなんかないよ!」
子供でも気まずい雰囲気は分かる…そして掛けた言葉が…
「好きな人…いるの?」
わたしってバカ?さっきの人が好きだから告白してたんでしょ!
「えっ!い、いや…」
「わたしがジェローム君のお嫁さんになってあげるから、元気だして!」
何言ってるの…こんなこと言ったら困らせちゃうだけなのに。
五日ほど経ったころ、またもやジェローム君の告白シーンに遭遇。相手の女性はこの前の人と違う…旅人さん。そしてまた振られたんだね…
「ジェローム君、こんにちは」
「シェダルちゃん…また変なとこ見られちゃったな…」
「う、うん…なんか…ごめんなさい!」
「謝る必要はないよ、シェダルちゃんは悪くないんだから」
はぁぁ。なんでこんなにタイミング悪いの?この前も今日もたまたま通っただけなのに。
星の日。エナさま役は最後だからいっぱいお菓子もらうんだ!もちろんジェローム君からもいただくわよ…って、探し当てた彼の居場所は幸運の塔。
「我はエナさまで…ある…ぞ…。ああっ、もう!わざとじゃないの!ホントにごめんなさい!」
またまた振られてる現場を見ちゃった…これで三度目だよ。私のバカ!!
「待ってシェダルちゃん。はい、お菓子をどうぞ」
「…あ、ありがとう」
「シェダルちゃんにはカッコ悪いとこばっかり見られてるな。ねぇ、シェダルちゃんから見ても私って魅力ないかな?」
「そんなことない!そんなこと絶対ないよ!だから…元気出してね」
誕生日を迎え、七歳になったジェローム君。彼に春がやって来るのはいつなんだろ…