sothis's derivative work

このブログは《World Neverland~エルネア王国の日々~》のゲームプレイを元にした妄想込みの二次創作物語(SS)を掲載しております。(投稿∶不定期)

wilma◇4.未来へ(アル編)

今日は妹アルリネ1歳の誕生日。朝からママとパパは部屋を飾り付けていた。
「お誕生日おめでとう。アルリネはどんな大人になりたい?」
「ママみたいな巫女さんがいいなぁ」

そして年末、アタシの誕生日。
「お誕生日おめでとう。アルバはどんな大人になるのかな?」
「アタシは龍騎士がいいなぁ。バグウェルと対決して、絶対勝つんだ!パパもママも見に来てね」
アタシ…何か変なこと言った?ママが泣いてるように見えた…

 

新しい年、ナトル最上級生。龍騎士になるには騎士隊か魔銃師会に所属しなきゃいけない。どっちにしても探索を頑張らないと!
「パパ、探索行こうよ!」
「その前に、アルバに頼みたいことがあるんだ」


季節は春から夏へ。あと半年でナトルを卒業する…そんな真夏の暑い夜、パパがガノスへ旅立った…最後は優しく微笑んで…穏やかな顔で静かに目を閉じたの。
「ママ…」
「ごめん…アルバ。今はひとりにして…」
ママの目は真っ赤で、必死に涙を堪えてるみたいだった。アタシが大人だったら…ママを支えてあげられたかな?
「アルリネ、お姉ちゃんと一緒に寝よう?」
「ママは?」
「今日はお姉ちゃんと寝ようね。アルリネが好きな本、読んであげるから」
アルリネが寝たのを確認して、ママの様子を伺う。
「アル…まだ子供たちも小さいのに…早いよ…お願い、戻って来て!お願い…」
「ママ、あのね…パパからお手紙預かったの…もしママが泣いてたら渡してって…。今年最初の学校の日に、パパから3通のお手紙を預かったんだよ。ママのと、アタシのと、アルリネの。パパは悲しくてどうしようもなくなったら、この手紙を読んでって言ったの」

 

~最愛の妻 リネミーへ~
俺は君のお母さんが好きだった。でも彼女は俺じゃなく君のお父さんと結婚したんだ。それでも俺は諦められず、ずっと追いかけ続けた。彼女が子供を授かり、出産したことを知った。『おめでとう』って言葉は出たが、それでもまだ心から祝えなかった。
何年か経ち、4人目…つまり君が産まれたって知った。俺は、もういい加減受け入れようと、家を訪ねたんだ。丁度、新年祝賀会の真っ最中で家には君しかいなかった。
俺が近づくと君は可愛らしい声で俺に話しかけてきた。もちろん「あー」とか「わー」とかだけど、俺に向かって一生懸命話しかけてくれてる気がしたんだ。俺は無意識に君を抱き上げていた。それから毎日のように君に会いに行った…君の成長を見逃したくなかったから。
誕生日を迎え、出歩くようになると、君は俺に「お友達にしてください」って言ってきた。「もちろん!」って返事をすると君はスゴく嬉しそうな顔をした。そして友達から仲良しになるのに時間はかからなかった。

俺の乾いた心は、君の何気ない一言で急速に癒されていった。でも、君の「お嫁さんになってあげる」って言葉だけは重荷だった。どうしても埋まらない歳の差…俺は自分の気持ちに蓋をした。
そして俺は友人の奏女に恋人役を頼んだ。君との関係がこれ以上深くならないようにするため…。
なのに君は気持ちをぶつけてきた。本当は…嬉しかったのに、俺は君を突き放したんだ。今思えば、俺に意気地が無かっただけだ…ごめんな。

 

この手紙を読んでるってことは…俺はガノスへ逝ったってことだな。リネミー、俺と一緒になってくれて、ありがとう。先に逝くこと…許してくれ。
人生の終盤は幸せ過ぎて怖いくらいだ。アルバとアルリネの2人の娘を持つことが出来たし、何より君に出会えたことは、感謝してもしきれない。
ガノスでの再会を楽しみにしてる…でも君はゆっくりおいで。10年でも20年でも待ってるから…
      ~アルバーン・スウィア~